京都新聞 市民版のページに登載     

    [記事全文] 
   本当のパン追求
   自前の店で腕を振るう 下京の若手職人

  
パンの国際コンテストに二十四歳で優勝した若手職人が、生まれ育った
   下京区のまちなかに姉と共に手作りパンの店を開いた。
   開店から四ヶ月、「自分を育ててくれた地域の人たちに本当のパンの
   おいしさを伝えたい」と仕事に励んでいる。
   同区若宮通花屋町上ルの戸口温善さん(26)。高校卒業後、すぐに修行を始め、
   市内の大手パン屋で働いた一昨年七月、米国の国際コンテスト「カルフォルニア
   ウォールナッツ・コンテスト」に出場、六百人の中から見事、総合部門グランプリを
   獲得した。
   受賞後も、大手パン屋の職人として働き続ける道もあった。しかし、友人が大手
   メーカーが機械で量産するパンと手作りパンを「同じパン」としてしか見ていないことに
   衝撃を受け、「自分の知っている人たちに手作りパンの奥深さを伝えたい」と姉の
   三枝子さん(30)と店を開くことにした。
   昨年十月、自宅から約三百メートルほどの西洞院通七条上ルに手作りパンの店を
   開店。このごろは、幼い頃から見知った近所のおじさんやおばさん、友人が買いに
   来てくれるといい、「お客さんの顔が見える距離でパンを焼いているので、
   毎日気が引き締まります。他では食べれないパンを作っていきたい」と話している。